IRT診断テスト開発の背景

浸透しつつあるプレースメントテスト

小野博教授

福岡大学客員教授
日本リメディアル
教育学会ファウンダー
小野博教授

2011年6月、日本リメディアル教育学会は、日本の全大学(大学754校、短大395校、計1,149校)を対象に学習支援の実施状況に関する調査を行いました。

国立55大学(87中)、公立53大学(77中)、私立294大学(590中)、短大142大学(395中)から回答を得ましたが、プレースメントテストについては国立大学の62%、私立大学の80%、短大の35.9%の大学が実施していることが分かりました。(穂屋下茂、小野博、米満潔:全国大学対象のJADEアンケート調査と結果について、2011、第1回JADEテーマ研究会予稿集、2-7)

プレースメントテスト実施割合

目的は「客観的基礎学力の把握」

大学におけるプレースメントテストの利用について「リメディアル教育や初年次教育のクラス分け」と回答した大学が約71%、「学生の基礎学力を把握するため」が約60%と多く、「入学前教育の成果を確認するため」と回答した大学もありました。これにより主に新入生の基礎学力の把握と初年次教育等のクラス分けに活用されていることが分かります。

このような目的であれば、毎年の新入生の学力の経年変化を把握することがまず重要であり、そのためには統計的手法を駆使した客観的基礎学力テスト(IRTテスト)の開発・利用が求められます。現在は、客観的な基準のない検定や受験生にとっての難易度が事前に調査されていない問題等を利用している大学もありますが、これでは経年変化を観察することができません。

アメリカで始まったテスト工学は近年目覚ましい発展を示し、GRE、TOEFL、情報処理技術者試験、医療系試験、SPI2などにもIRT分析が利用されるほど、社会に普及してきました。その流れは、日本も例外ではありません。

日本の高等教育にマッチしたIRT診断テストを開発

私たちは1980年ごろからIRT診断テストの開発を目的とした研究を始め、1988年、小・中・高校生向けの日本語力テストを開発し、海外在住帰国子女等を対象に1万人以上の調査を行いました。また、大学入試センター在籍時に大学生の学力低下問題に遭遇し、大学生を対象とした客観的なテスト開発が求められていたことから、2003年、日本語、英語、数学のプレースメントテストを開発し、2004年から多くの大学に提供してきました。

そして、NHKエデュケーショナル・NTSと共同で、IRT診断テストを提供しております。この診断テストを大学生に実施したところ、テストによって得られた学力レベルと、教員が学生に対して持っている印象とがマッチした、という実証結果を得ています。貴大学における新入生の基礎学力の把握にも、役立てていただけるよう期待しております。

資料請求・お問い合わせ